2014年7月29日火曜日

2年目看護師奮闘記~③ ナラティブ報告会より

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動画4264     患者様の死を通して

                            大隅鹿屋病院
                            ICU(集中治療室)
                                吉倉 亜弥

                 尚志館高等学校 看護学科
                           (H25年卒)


入職して1年が経過しました。
この1年間で多くの患者様と出会い関わっていく中で多くのことを学びました。
その中でも忘れられない出来事があります。それは業務にも少しずつ慣れ始めた10月、初めて受け持ち患者様が急変し亡くなったことです。

A氏50代、男性。吐血・下血で緊急搬送され、アルコール性肝硬変の脳障害・食道静脈瘤の破裂による消化管出血の診断にて内視鏡を行ったが食物残渣が多く出血部位・止血確認ができず全身状態観察のためICU入室となり、入室当日の日勤帯で私が受け持つことになりました。

   (写真はクリックすると拡大します。是非、お試しください)

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受け持ってからすぐに言動がおかしくなり血圧・心拍ともに低下していき、酸素増量、カテコラミン増量し対応するが状態はよくならず、妻はとても心配、どうしたらいいの。お父さん私を一人にしないでと泣き崩れてしまった。
私はどう対応していいかわからず、医師・先輩方の指示どおり動くことしかできませんでした。そのとき先輩方は妻の訴えを聞きながらもお父さんを助けるには、お口から管をいれないといけなくなるかもしれないと今後考えられる状態をわかりやすい言葉で説明していました。
その後患者様は処置の最中心停止となり、心臓マッサージ・挿管と蘇生術を行い20分後に心拍再開したが、救命の見込みが低くなり御家族に病状説明行い、DNRとなりました。
その後、妻に面会に入ってもらったが、私は泣き崩れている妻へ声をかけることができず肩をさする
ことしかできませんでした。

先輩方は御家族が最期を悔いなく看取れるように椅子を用意する、カーテンを閉めるなど環境を整えていました。私は、先輩方の関わり方を見ながら、今自分にできることはなにかと考え患者様をきれいな状態で御家族に会わせることが今自分にできる精一杯のことではないかと思いご家族に許可を取り清拭をさせて頂きました。
後日、ご家族と会った際にあのときは気が動転していてなにも言えなかったけど本当にありがとう。きれいな状態で息子たちに会わせることができてお父さんも喜んでくれたと思うと話してくれました。その言葉を聞いたときに自然と涙があふれ御家族と向き合うこと・患者の死を受け入れることが怖い・悲しいという思いしか持てなかった自分をとても悔しく思ったことを覚えています。

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   今後看護師として死というものは避けて通れない道です。
   ICUという環境の中突然の死に向き合わなければならない御家族が大勢い   ます。人として看護師のプロとして御家族に寄り添いながら御家族とともに    患者の最期を迎えられるよう日々学んでいきたいと思います。

 

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        今日は当直明けです。
   タイムカードを打刻後、新病院・建設現場の
   前で、少し眠たいけど無理やり笑顔でピース
  
   写真が小さいのでクリック拡大してみて下さい
       11月から新病院で働けるのが楽しみです。

 

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   症例を読んで思う事
    
ICU(集中治療室) 
          実地指導者
        菅屋 美由紀



実施指導者として、一年間吉倉さんの指導係を行なってきましたが、私が感じる以上に吉倉さんは成長してきたと思います。厳しい職場で辛い事もあったと思いますが、様々な経験をしたことでより良い看護師に成長していると思うと同時に、今回の症例から、吉倉さんが本当に心の優しい看護師に成長してくれたのだと実感しています。

今回の症例で妻へ声をかけることが出来ず肩をさするしか出来なかったとありましたが、これは吉倉さんにしか出来ない看護だったと思います。
先輩ナースは経験がゆえに機敏に行動出来ますが、家族の目には淡々としているようにうつるかもしれません。その中で、吉倉さんが家族の側に寄り添い肩をさするという温かみのある看護をしてくれた事で、家族は落ち着き、受け入れるきっかけになったと思います。
吉倉さんが自分には何が出来るかを考え、自分が行なえる最大限の看護を提供できた事で、家族にも良い最期となったのだと思います。患者様の死というのは今後も多く関わることになります。
初心を忘れず、吉倉さんにしか出来ない看護を大事にし、これからも共に頑張っていきましょう。

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      1年を迎えて思う事
    
ICU(集中治療室) 主任
              湯之前 朋子


ICUに配属になり1年が過ぎました。吉倉さんには、あっという間の1年だったと思いますが、仕事の面・精神面と本当に成長しましたね。
この1年間の患者様・御家族の出会いの中で、多くのことを学んだと思います。

今回の吉倉さんの症例は、急変して亡くなった患者様でした。
私も、その日現場にいたので吉倉さんの姿と患者様と御家族を鮮明に覚えています。
患者様は、突然の入院、そして急変でした。奥様は、その様な状況に驚き、泣き崩れ震えていたと思います。その中で、吉倉さんのとった行動は、素晴らしいものでした。
自分は、何も出来ないではなく、自分が出来る最大の看護、奥様に寄り添い肩をさすっていましたね。私達は、日々の看護をするにあたり死というものは、避けて通れません。
看護師経験を積めば積むほど、多くの患者様と御家族の人生最後の時に立ち合わせていただく事となります。私達は、看護のプロとして患者様・御家族へ看護を提供しなければなりません。
その為には、家族看護を活かし、日々心を磨いていかなければなりません。
今回の経験や思いをいつまでも忘れずにいてくださいね。
これからも、私達と一緒に患者様と御家族の為にがんばって行きましょう。1年間お疲れ様でした。そして、これからもよろしくお願いします。

4 件のコメント :

  1. いつもブログを拝見しています。ナラティブ報告会や訪問看護のシリーズは特に見ごたえがあり楽しみにしています。これからも頑張って下さい。

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    1. 訪問看護師 出水田 麻紀2014年8月16日 9:36

      コメントを有難うございます。このような暖かいコメントを頂き、訪問看護スタッフ一同、とても喜んでいます。今後も、大隅半島の訪問・在宅看護の実情を、写真と文字でお伝えしていきたいと思います。近日にはブログ更新しますので、また、是非読んで下さいね。

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  2. 時々、HPを拝見させていただいてます。
    以前勤めていた時の大変だった事や、貴重な経験を懐かしく感じております。
    今でもまた一緒に働きたいと、懐かしく思います。
    ICUの吉倉さん、あの頃はか弱く、自信なさげでしたが、一年経った今は強く・たくましく見えて、なんだか別人に見えました。
    どんどん成長する後輩達に負けないよう、私自身もスキルアップし、違う所でチャレンジする力をもらいました。
    良い場所・良い環境・良い人材で仕事ができることを誇りに持ち、これからも頑張ってください。

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  3. 心強くもあたたかいコメントありがとうございます.嬉しいことも辛いことも経験し,その中で自分が環境,人にいかに恵まれているか実感しました.まだまだ未熟でICUの先輩方はじめ他部署の先輩方に助けてもらいながら患者様に学ばさせていただいてます.初心忘れず振り返りながら成長できる看護師になれたらと思っています.病院の近くに来ることがあればぜひ立ち寄って下さい(๑• •๑)新館を案内します,私もまだまだ迷子ですが(*´・ω・)これからも笑顔で頑張りたいと思います!
    お身体に気を付けて新しい環境で頑張ってください(*´ω`*)

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