今回、(7階西病棟:内科)に所属するH29年4月に入職した3名が、この1年間で心に残った患者様や、ご家族との関わりについて報告致します。
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(7階西病棟) 内科
7階西病棟
新人看護師 大迫 凪沙
「患者様との関わりの中で気づいたこと」
看護師になりもうすぐ1年が経過する。看護業務を行う中で、業務量の多さに追われて疎かになってしまう部分もあり「わたしは看護ができているのか」
「わたしは看護師に向いていないのではないか」と悩む事がある。看護師になって半年くらい経った頃に、終末期の肺癌患者Aさんに出会った。初めてAさんの担当をした際に、「おはようございます。今日の調子はどうですか?」「ご飯はしっかり食べられましたか?」といろいろ声掛けをして、コミュニケーションを図ったが、あまりはっきりとした反応は得られず、拒否的な言葉ばかりが返ってきたため、その日は私の声掛けの仕方が悪かったのかと、とても悩んだ。
しかし、その後も何度か訪室の際に声掛けをしたりしたがいつも拒否的な返答であるため、私はAさんに対して関わりにくいと感じ、苦手意識を持つようになっていた。
ある日、昼食を配膳している時に、「Aさん。お食事を持ってきましたよ」という私の声掛けに目を開けず寝たままで「食べてくないから持って行って」と返された。私は「最近、ご飯を食べれていないので、ゆっくりでもいいので食べれるだけ食べて下さい」と声掛けをして、その場を離れた。その後、2回ほどAさんの様子をのぞいても食べている様子はなく、私はどうしていいのかわからずそのままにしてしまった。その日から何度かそういったことが続き、私のAさんに対する苦手意識は強まるばかりであり、Aさんからの食事摂取量は増えず、食べない日が続いていた。
そんな中、Aさんのチームカンファレンスをした際に、意欲があまりなく食事摂取量がよくないことが挙がると、師長さんが「こちら側が何かをするように言うのではなく、Aさんが何をしたいのか、何を食べたり飲んだりしたいのかを本人に聞いて、Aさんの希望を叶えていけるようにしましょう」と話して下さった。その時に、私はAさんの希望を聞かず、私のしてほしいことをAさんに押し付けていたことに気づいた。その後、担当した際に私は、Aさんに対しての声掛けをなるべくAさんの希望を聞くようにした。そうすると少しずつではあるが、今どうしたいのかを話して下さるようになり、以前よりコミュニケーションが図れるようになった。
そうすることでAさんに対する苦手意識も減っていった。しかし、Aさんの状態は悪くなるばかりで、ある日出勤するとAさんは亡くなり退院されたあとだった。Aさんんとの出会い・関わりは、患者さんとの関わりの中で大切なことを気付くきっかけとなる大切な出会いとなった。
Aさんとの関わりの中で気づいたことは、今患者さんと関わる中でとても大切にしており、自分の考えを押し付けるのではなく希望を聞くことを心がけている。しかし、今でも時折、自分の考えの押し付けになっていたと反省する事がある。そんな時は、Aさんとの関わりを思い出して次に関わる時、患者さんの希望を聞きながら関わることを大切にしていきたい。
実地指導者 前田 舞
「患者様の思いを尊重する大切さ」
早いもので入職して1年が経ちました。初めての社会人として、どのような1年間だったでしょうか?緊張と不安でいっぱいだったと思いますが、物怖じせず淡々と業務に慣れていったように感じます。
患者様は性別・年齢・疾患それぞれ異なり、ひとりひとり対応の仕方・声かけの仕方が変わってくると思います。私たちがこうしてほしい・こうなってほしいと思っても、患者様はそれを望んでいないかもしれません。今回の事例を通し、2年目からはぜひ患者様のニーズに添える看護を提供できるよう、患者様の言葉・行動を観察していきましょう。そして自分なりの看護観を見つけてみてください。
厳しく指導することもあったかもしれませんが、お互い少しずつではありますが、一緒に成長できたことを嬉しく思います。
2年目に入りましたが、今年も大迫さんのサポートをしていきますので、遠慮せず声をかけてくださいね。今年も一緒に成長していきましょう。
7西病棟師長 永山 アキ
「模索し続けた1年間」
振り返るとあっという間に感じるのかも知れませんが、長い一年間だったかも知れません。
「早く先輩方のようになりたい!」と日々模索しながら、考えながら、先輩方に近づこうとしていた毎日でしたね。そんな大迫さんを前にして私自身としては、元気のあるときは大丈夫だなと安心し、元気がないと感じた時は疲れているのかな?大丈夫かな?と見守る日々でした。
体調不良で休む事がなかった時に、社会人としての自覚の高さを感じました。社会人としていざ現場に出てみると、足りない自分に葛藤を抱いたり、時には後ろ向きに考えたりすることは誰でも経験することです。そんな事を現場では一切口に出さずに日々の業務に取組んでいました。 先輩方の厳しい助言や、時に患者さんからある強い訴えは、理解してくれるだろうという、相手への信頼があるからこそ出てくる言葉でもあります。患者さんたちが、大迫さんに見せてくれる表情、言動にはすべて何らかの意味があります。
そのサインに気づけるかどうかは、今後の大迫さん次第です。この一年間、患者さんとの毎日のやり取りの中で、大迫さんが心の表面だけで感じていたことを今後はさらに思いを深めて、患者さんに寄り添い、患者さんにとって心に残る看護師ナンバーワンを目指していきましょう。出来ますよ。大迫さんなら。
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新人看護師 三浦 美咲
「患者ケアで心に残った出来事」
私の心に残っている看護エピソードは、身体抑制をしている患者様を受け持っている時のことです。その患者さんは、高齢で、認知症があり、点滴施行中には留置針を自己抜去されることがあり、両手にミトンをつけ、身体抑制をしていました。ミトンの中には、手指の動きを抑制するため、かなり窮屈になっており、こぶしを作った状態でミトンを装着しなければなりません。
そうなると、抑制中はずっと両手はこぶしを作った状態のままで、ミトンの中で手指を動かすことは出来ません。先輩方の中には、患者様に付添い、抑制解除をしている方もいたのですが、私は、自分の仕事をこなすのに精いっぱいで、そのようなケアの提供が出来ていませんでした。 又 、患者様は車いすに移乗出来ず、車いす移乗し手の抑制を解除するというケアも行う事が出来ませんでした。数週間後、患者様の受け持ちになった時に、時間を少し作ることが出来、先輩方の様に患者様に付添い、抑制を少しの時間でも解除出来ないかと考えました。
ミトンを外そうとすると、患者様が手を私の前に突きだし何かを訴えるような表情と仕草をされました。ミトンを外すと、両手の関節が拘縮をおこしている状態でした。患者様は痛みがあるとの事を伝えたかったのだと気付きました。拘縮が出来るほどの長い時間、抑制をしていたことをあら改めて実感し、先輩方のようなケアが行えていなかったことを後悔しました。
点滴施行中であり、自己抜針の恐れがあるため、完全な解除はすぐには出来ませんが、少しの時間だけでも解除し、手指を他動的に動かし、拘縮の予防を行ったり、点滴ルートを見えない位置にし、抑制を解除するなど、そのようなケア方法もありましたが、身体抑制についての認識が甘く、このような結果を招いてしまったのだと気付きました。
身体抑制は拘縮や神経障害を来すこともありますが、体を動かしたいのに動かせずストレスも溜まるため、精神的なケアも必要になってきます。身体抑制としっかり向き合い、出来るだけ抑制の時間を少なくしたり、コミュニケーションをとっていく事が重要であることを学びました。今後も身体抑制を行う患者様への対応に気を付けて、それぞれの患者様にあったケア方法を考え、患者様と向き合っていきたいと思います。
実地指導者 高田 佳代子
「今の気持ちを大切に」
入職して、一年経ちましたが、この一年で色々と感じることがあったと思います。
最初は覚えるのに必死でついていくのが精一杯でしたね。それでも、三浦さんは、嫌な顔をひとつもせず、辛い事も乗り越えながら頑張っていたと思います。今回、身体抑制をしている患者様を受け持ち、少しでも抑制を解除してあげたいとありました。
この気付きは、看護する中で大切なことだと思います。私もですが、業務におわれて患者様の気持ちを考えずに、自分の事を優先してしまいがちになってしまうことが多々あります。後で振り返り、反省はしますが、患者様にとっては、「今」が大事なのだと思います。
業務内に終わらせることも、もちろん大事な事ですが、患者様がその人らしく入院生活を送れるよう、援助していけるようになればいいですね。
これから先は、先輩として、後輩に教えていかなければなりません。でも、私達でも常に学びながら看護をしているので、分からないことがあって当たり前だと思っています。わからない事があったら、いつでも聞いてください。そして、今の気持ちを忘れずに、これからも一緒に頑張って行きましょう。1年間、お疲れ様でした。
7西病棟師長 永山 アキ
「常に患者さんに向き合おうと考えた日々」
日々目まぐるしく変わる業務の中で、本当に一年間が経過したのかと思っているのではないでしょうか。気が付くと、たくさんの学びがあり、患者さんからとても良い気づきをもらえていましたね。そういう関わりがあったことを知り、嬉しく思いました。
三浦さんは、普段から発言することがあまり多くはないので、患者さんとのコミュニケーションが図れるだろうかと心配したこともありました。しかし、しばらくしてそのことを理解できるようになりました。三浦さんの看護記録を読んだらわかります。いつも考えているのです。
患者さんにどのように声掛けしたら良いか、どう対応したら良いか。患者さんにとっての最善策を毎日毎日どんな時も考えて、しっかり看ようとしていたのですね。看護記録もただ業務的に記入するのではなく、いかに自分が納得して記載するか、記録からその思いを看護師としての意気込みを感じる事が出来ました。看護する為には、いつも多角的視点を持ち、常に何かを行いながら他の業務もこなさないといけません。時間配分が上手くいかず、視野が狭くなり先輩から指導を頂くこともありました。でも、それも皆が足並みをそろえたいという思いがあるからです。
少しずつ出来る事も増えてきましたが、それでも先輩方にはまだまだ及びません。出来る事、出来ていないことを客観的に見つめて、更に患者さんへ最善が尽くせるように、看護を深められるように今後も頑張って行きましょう。みんなで応援しています
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新人看護師 奥松 康宏
「心に残る患者様との出会い」
看護師になり、もうすぐ一年が経とうとしている。日々看護業務を行っていく中でタイムスケジュールを立てられず、時間に追われ患者様のケアやナースコール対応が疎かになっているところがある。患者様に頼まれたりしたことを「ちょっと待っていて下さい。」と返事をし、後回しにしてしまうことがあり、不快な思いをさせていると感じる事が多々ある。
看護師になり、9か月ほど経った頃に実地指導者のフォローのもと、重症患者様の多い部屋を受け持たせて頂いた。その時に初めて、肺がんの診断で入院されているAさんを受け持った。気管切開しており、人工呼吸器を使用しているため、両上肢ミトンと抑制帯を使用していた。
自分がフリー業務を行っている時に訪室した際などに声掛けを行うと、うなずきや身振り・手振りでコミュニケーションをとって下さる患者様であった。受け持たせて頂いた当日もうなずきや身振り・手振りでコミュニケーションを図ることが出来た。午前中と午後の検温時に、抑制帯を外してほしいと訴えがあったが、外した後近くにいることが出来ないため「後で家族が来た時に外しましょうか。」と返答し、うなずきがあったものの、渋々納得された様子であった。
午後の検温後、しばらくしたら家族の面会があり、抑制帯を解除した。その後、実地指導者と定時のおむつ交換に入った際に急変された。DNRの患者様であったが、家族希望にて胸骨圧迫と昇圧剤投与を行ったが、状態改善なく死亡退院となった。エンゼルケアも行い、家族希望の服を着て頂きお帰りになった。ご家族より「最後まで頑張ったでしょう。」や「ありがとう。」と声をかけられた。その言葉から患者様の訴えにすぐに答えられず後回しになってしまったことや、何かほかにも伝えたいことがあったのではないか、もっと良く観察が出来ていれば急変も起こさなかったのではないかと思い、「自分が看護師でいいのだろうか。」と悩んだ。
実地指導者とも、その日のことを話合い振り返りを行った。Aさんのことを経て、患者様とのコミュニケーションや訴えに対する傾聴や対応の大切さを改めて感じる事となり、患者様の訴えに対する「後で。」は、その訴えを諦めさせてしまったり放置されるのではないかという気持ちにさせてしまい、簡単に使用してはいけないと考えを改める事が出来た。
患者様の訴えにすぐに対応出来ない際は「後で。」ではなく、先輩看護師のコミュニケーションの際の「5分後に伺います。」など、正確な時間を伝えることで自分の気持ち的にも楽になり、患者様も安心されると感じた。まだ、自分が看護師として患者様に接する中で、とった行動がそれで良かったのかと悩むことが多いが、実地指導者をはじめとした先輩看護師方から学んだことや、今回のことから学ぶことが出来た事を活かし、これからも患者様との、より良い関係を築いていけるようにしていきたい。
実地指導者 内野乃 清人
「患者様との関わりを通して」
1年間お疲れ様でした。入職当初は、不安そうな顔で、質問してもなかなか口をひらいてくれなかった姿を最近のことのように思います。タイムスケジュールが課題になったり、この1年間で多くのことを体験し学んできたと思います。業務に慣れるのも必死で、自分にできることは何かと常に考えながら、どんなに忙しくても笑顔で接し、患者様を敬う気持ちを忘れずに丁寧に接する姿を見て、私も見習わなければと思うことが多々ありました。
今回の事例はよく覚えています。
ケアと家族の面会時間が重なってしまった時も優先順位をつけて患者様・家族への声掛けの仕方を学べたと思います。患者様との関わりも大切ですが、家族との関わりも大切です。
トラベルビーの言葉の中に「希望は信頼関係と関連しており、困ったときには看護師が支援するということを行動で示していなければならない。信頼の確立は、看護師がもたらすものである。」という言葉があります。2年次も一緒に頑張っていき、協調性のある病棟を作っていきましょう。
また、心情の上でもとても大変だったと思います。1年間本当にお疲れさまでした。
7西病棟師長 永山 アキ
「出会い、別離、そして新たな出発」
緊張した面持ちで配属されて1年。沢山の変化と節目であった一年だったのではないでしょうか。「タイムスケジュールが立てられないです」「時間通りに出来ていません」面談の度に次をどうしていこうか考えましたね。今振り返ってみると、本当に成長されたと感じています。
成長とは「出来なかった事が出来るようになる事」です。言葉にするととても簡単です。しかし、看護業務として考えたらどうでしょう。一人で大勢の患者さんの検温が出来るようになること、入院患者の対応が出来るようになること、一つの業務を行う為には、知識や根拠、安全や清潔不潔への理解や、複雑に関わる一つ一つの作業を緻密に行う能力が必要になります。昨年4月に出来なかったことが、出来るようになったこと。本当に成長した事を嬉しく思います。又その一つ一つの積み重ねの背景には、どんな時も支えてくれた先輩方の姿があります。
昨年8月にお母さんとお会いした時、「奥松君、頑張っていますよ、大丈夫ですから。」最初で最後の言葉になってしまいましたが、今となっては伝えられて良かったと思います。これからもみんなで見守っていきますからね。
今回で、参加者全員のナラティブ報告が終了致しました。
現在は、2年目の看護師として新たな取組みと併せて、1年目
(新人看護師)の見本となるよう頑張っています。
「心に届く看護を目指して」チェスト!いけ~!