2018年6月14日木曜日

第8回 ナラティブ報告会 (5階東病棟編)

ナラティブ報告会とは、新人看護師が1年間を通して心に残った患者様やご家族との
関わりを語り口調で朗読報告する事を言います。

5月12日(土)看護の日に、18名の新人看護師のナラティブ報告に対して、実地指導者及び病棟師長のアンサーという形で行われました。illust青鳥動画4615g

このブログで、新人看護師奮闘記として病棟別に
紹介していきます。
紹介順 5階東→5階西→6階西→7階東→7階西

   写真をクリックすると拡大します
  見やすくなりますので是非、お試し下さい。

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報告会終了後には、一人ひとりに重田看護部長よりクリニカルラダーステップアップⅡの認定証と、5千円分の図書券、そして病棟の先輩が一年間撮りためていた写真を、コメント付きのアルバムにしてプレゼントされました。

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          5階東病棟 心臓血管外科循環器内科形成外科

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5東病棟 
新人看護師 廣地 玲奈 
        患者様との関わりを通して
 入職して1年が経過した。1年前の私は新社会人として、看護師としてこれからやっていけるのだろうかと不安ばかりであったが、患者様やそのご家族、そして先輩方との多くの出会いがあり少しずつ自信を持ち業務を行えるようになってきた。
 入職して9ケ月が経った頃、狭心症の疑いがあり心臓カテーテル検査目的で入院された患者様に、翌日検査を行った。結果、感動にゃ工藤Dr垂水港迎えの3枝病変であった為すぐにでも冠動脈バイパス手術が必要との診断であった。
患者様ははじめ表情を変えず自分の状態に理解できていない様子だったが、病状説明を受けやっと理解ができた様子だった。
病室へ戻ると私に「こうなるとは想像していなかったよ。こんなに悪かったんだね。自分の今までの行いの結果だ。」と弱弱しい声で話しショックを受けているような様子だった。
そして準緊急で翌日手術を受ける事となった。当初は検査目的であったが、手術になるとは患者様自身も想像していなかったこともあり、私自身、患者様から話しかけられた際にどのような声掛けや返事をすれば良いか悩み、何も言葉が見つからず、ただ傾聴する事で精一杯だった。
又患者様は、身寄りの方が近くにいないという事もあり、すぐ近くで支えてくれる人がいない事は、更に精神的不安が大きかったと思う。
 手術当日、患者様のお部屋を訪室し「頑張ってきてください。病棟に戻ってこられた際はまたAさんの顔を見に来ますね」と声を掛けた。「あ、昨日の看護師さん。行ってきますね。」といい笑みを浮かべていたが目が少し潤んでいて、不安が伝わってきた。「頑張ってきてください。」と声を掛けたが頑張っている人に対してもっと頑張ってと伝えている様で、その言葉の重さを感じた。
 術後3日目、状態が安定しICUより5東病棟に転棟してきた。患者様のお部屋へ訪室し「お帰りなさい。頑張りましたね。」と伝えると、患者様から「ただいま。あなたの顔がまた見れて良かったよ。ありがとう」と今までにない笑みと安心された表情をみて、涙があふれそうになった。
術後4週目には退院となり患者様より「あの時は本当に辛かったけど、良くしてくれてここまで来れたよ。廣地さん、ありがとう」と話され、あの時の私は傾聴する事しか出来なかったが、少しでも患者様の心の支えになれたのかなと嬉しかった。
 今回の事例を通して、急遽手術を受けなければならず精神的ショックを受けた患者様に対する心のケアや言葉の重みについて学ぶ事が出来た。もし自分が患者様もしくは家族の立場に立った時、どのように関わってほしいかを欲しいかを考える事が大切だと先輩からアドバイスを頂いていたが、今まで関わり方に悩んでいた。しかし、今回初めて自分なりに考え、少しでも関われた事で患者様から嬉しい声を頂き、今後も患者様やご家族の思いを大切に、時には同じ目線にたち声を掛け、「良かった」と思って頂けるような看護師に成長していきたい。

実地指導者 土屋 潤奈
        「持ち前の優しさと素敵な笑顔で
 廣地さん、一年間お疲れ様でした。
最初は何をするにも余裕がなく、焦りや不安でいっぱいいっぱいになっていましたね。
徐々に職場や業務にも慣れてきて、笑顔が素敵な看護師になってきました。
持ち前の優しさもあり、患者様との関わりはとても上手だなと感心していました。患者様から廣地さんの名前を聞くようになり、どんなに忙しくても必ず患者様との話す時間を作り、患者様と向き合っている姿を見て毎日とても感心していました。
看護観は人それぞれ違います。廣地さんの目指す看護師像はすばらしいと思いました。
患者様やご家族の思いを聞き取ることはとても大切です。入院し手術するとなると患者様自身、不安しかないと思います。そこに介入し患者様の思いに寄り添えたことはとても良い経験になったと思います。これからも優しさと素敵な笑顔で共に頑張っていきましょう。

副看護部長 藤安 友子
        言葉の重みを考えながら看護師としての成長を感じて
 早くも入職して1年が経ち、後輩もやってきましたね。入職当初は、緊張が強くせっかくの笑顔も封印されているような状態でした。そんな中でも、確実に学びを深め看護師としての声掛けや姿勢はすばらしいなと感心させられるほど、きちんと出来ていました。元々、物事を自分の中で咀嚼してから行動に移していくタイプで、納得しながら業務を遂行していましたよね。
Aさんは、準緊急で手術を行うことになり、自分の置かれている立場を上手く理解できないままに周りから多くの説明をされ、話がどんどん進んでいくというような状況だったのではないでしょうか。そんな中で廣地さんに掛けられた言葉や表情が、Aさんの心にはとても響いたのではないかと思います。患者様から直接名前を呼んで感謝の言葉を頂けるとは、なんと素敵なことでしょう。これは、廣地さんのその時の思いや心遣いが通じたからではないかと思います。
笑顔の素敵な親切な看護師さん そんな看護師でこれからも沢山の人たちに笑顔と心地よさを分けてあげてほしいと思います。今後は今以上に素敵な看護師になっていくと思います。
後輩が憧れるそんなかっこいい看護師になれると期待しています。これからも成長し続けていきましょう。応援しています。

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5東病棟
新人看護師 山口 桃奈
        構音障害の患者様との出会い
 入職して1年が過ぎた。私がこれまでに経験した看護で印象に残っている事は、60歳代(以下A氏)の男性患者様との関わりについてである。A氏は、突然自宅で意識を失い病院に救急搬送された。検査の結果、急性大動脈解離スタンフォードAと診断され、緊急で上行大動脈人工血管置換術が行われた。その後の術後経過は良好であり施設転院の予定であった。しかし、入院中、呼吸困難感、喘鳴の訴えあり、気管支ファイバースコピーにて声帯開存困難がみられ、両側反回神経麻痺を認めた。それにより喀痰喀出困難となり窒息のリスクが考えられるため、期間切開術が行われた。ある日、A氏からナースコールがあり、A氏の部屋を訪室した。
訪室した際、A氏から訴えがあったが気管切開していることや、既往に脳梗塞の後遺症による言語障害があるゆえに、何を伝えているかがわからなかった。その為、自分は「トイレですか?」や「気分が悪いですか?」など、うなずきで返答できる質問や{はい・いいえ}などの簡単な質問を投げかけた。するとA氏からトイレに行きたいという事に対して、うなずきと理解してもらえて嬉しいというような表情をうかがうことが出来た。
 A氏は緊急手術を2度されていることや、気管切開により声が出せず思っていることを伝えることが出来ないため、大きなストレスを抱えている事が考えられた。
そのためクローズドクエスチョンやジェスチャーを活用してコミュニケーションを図ったり、術後の苦痛に対する共感的声掛けを行う事でストレス緩和に努めた。その結果、患者様から嬉しい表情やうなずきがみられてクローズドクエスチョンやジェスチャーでのコミュニケーションの大切さに気付いた。この経験を通じて、私はコミュニケーションを図ることが難しい患者様や、入院した事によるストレスを抱えている患者様に対する声掛けや精神的苦痛の緩和について改めて大切だと感じた。また、患者様からの発言だけでなく、表情や動き、視線などを観察して患者様が今何を思っているかを感じ取り看護を行っていくことが大切だと考えた。精神的緩和として患者様がうまく伝わらないというもどかしさや、ストレスを理解して看護を行うことが必要だと感じた。

実地指導者 福岡 礼央奈
        コミュニケーションの大切さ
 山口さん、1年間お疲れ様でした。最初の頃の山口さんはおとなしい印象で、急性期の病棟についていけるか心配でしたが、仕事に慣れるにつれ笑顔が見られるようになり、1年を通して患者様との関わりがとても上手になったと思います。
 今回、A氏への看護を通して、コミュニケーションの大切さが理解出来て良かったと思います。
コミュニケーションは患者様と関わる中で一種の看護だと私は思います。
今回、脳梗塞の後遺症や気管切開後により自己の思いを上手に言葉に出来ない患者様との出会いと言う事ですが、山口さんが”どうしたらA氏の伝えたいことを理解出来るだろうか”と考えたからこそ、クローズドクエスチョンやジェスチャーの必要性がわかったのではないでしょうか。
構音障害の患者様にとって、理解してもらえたことは本当に嬉しかったと思います。
 入院している患者様の中には、A氏のように相手に言葉が伝わらず辛い思いをしている方もいれば、疾患や入院に対する恐怖など様々な思いをしている方もいれば、疾患や入院に対する恐怖など様々な思いを抱えている方もいます。今回、学んだコミュニケーションの大切さを活かして、患者様の様々な思いを表出し、苦痛を軽減出来るよう今後も患者様との関わりを大切にして下さいね。

副看護部長 藤安 友子
        相手の気持ちを汲み取る困難さに、工夫を取り入れたすばらしさ
 入職して間もないころは、少しおっとりしたテンポで行動している山口さんの事がとても気になっていました。5東病棟のスピーディーな流れについていけるようになるのだろうかと、思案した時期もありました。しかし、徐々に病棟にも業務にも慣れ、話す言葉も大きな声で表情も交えながら話している姿を、頼もしく見ることが出来るようになりました。
 A氏は、病状変化と共に声が出せないという言語的コミュニケーション手段を急に奪われてしまった状況でした。急にこのような状況下に身を置いた時に、はたして冷静でいられるでしょうか。言いたいことが伝わらないという、もどかしさが大きいのではないかと思います。
そんな状況を悟り、患者様の立場に立ってみて、コミュニケーション手段を考えられたことはとても素晴らしい事だったと思います。A氏は山口さんが対応した時にどんなに嬉しかった事でしょうね。常に相手の気持ちを汲み取りながら、対応していける素敵な看護師にいるのですね。
どんな時でも、いつものスマイルでまわりのみんなをハッピーな気持ちにすることが出来る看護師になっていくのだと思います。これからも見守っていける楽しみがいっぱいです。

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5東病棟
新人看護師 原口 綾乃
        日常ケアからの学び ~患者様と家族に寄り添った看護~
 看護師1年目があっという間に過ぎた。この1年間、毎日緊張と闘いながら必死に業務を覚え、多くの患者様と関わってきた。受け持ち患者の人数・任されるイベントの数も増えていき、ただひたすら目の前の業務をこなすことに瀬一杯で時間に追われながら仕事をしていた。
そんな自分が嫌になることも多く「何のために看護師をしているのだろう」、「もう少し患者様に寄り添えたら」と思う事が多かった。そんな忙しい業務の中でも患者様との関わりで印象的なことを振り返りたいと思う。
 A氏70代女性。末期心不全にて入退院を繰り返していた。元々ADLは自立していたが、心不全憎悪をきたし酸素化不良、呼吸困難感や倦怠感でほとんどベッド上での生活となっていった。
A氏には夫がいた。夫は毎日A氏に会いに来て、自ら食事介助や排泄介助をA氏のために一生懸命行っていた。A氏は少し前までポータブルトイレに移乗する事まで頑張っていたが、苦しさからだんだん「今日は苦しいからやめておきます。」と入浴や洗髪など清潔ケアを拒否する事が多くなっていた。A氏を受け持つことは何度かあったがいつもの忙しさからA氏にゆっくり向き合い、ケアを行うことが出来ていなかった。またその頃A氏と夫の間では今後の治療に対する思いがすれ違っていた。家に帰りたいA氏と、もう少し病院で続けて生きてほしいと願う夫。そんな2人の姿を見ながら、私は患者様に必要な事、してあげたい事があるのに、それを行動にすることが出来ていない事がずっと悔しく思っていた。
 
そんな中、A氏を受け持ったある日、A氏の調子が少し良かったため午後から時間を作り、A氏へケアを行うことにした。今から全身清拭を行うことをA氏に確認すると、その時は「ほんとですか?有難うございます。」と前向きな反応があった。
普段のケアでは使わないスキナベーブを使用し、少し時間をかけ全身を拭いた。
清拭中、A氏は臥床状態であり寝返りを打つ時はきつそうではあったが、清拭を行ったことで少しではあるが表情は明るくなり「気持ちがいいです。さっぱりしました。」と発言があった。
そばにいた夫も「こんなに良くして頂いて。有難うございます。」といつもより笑顔になっているのを感じた。その後A氏は他の病棟へトランスとなったため、これが私のA氏を受け持つ最後の機会となった。もうほとんどベッド上の生活で、長期的に治療を受けているA氏のニーズを一部分、少しだけ満たす事が出来たのではないかと考え、自己満足になってしまってはいけないが最後にこのような関わりが出来た事を嬉しく思った。またいつも帰り際に「よろしくお願いします。」と言って帰っていく夫の思いに対しても少しでも応える事が出来たのではないかと考えた。
 まだまだ未熟ではあるが1人の看護師として患者様と家族を一緒に支えていかなければならないという責任感を強く感じた。病棟では毎日色々な日常があり、小さなことでも一つ一つが患者様にとっては重要な看護であると気付く事が出来た。今後も患者様・家族との色々な関わりから沢山学び、自分の知識や技術をより深め学習に努めていき成長していきたいと考えた。

実地指導者 坂田 直哉
        患者様・家族との関わりの中で
 まずは1年間お疲れ様でした。目の前の業務をこなすことに精一杯な姿、緊張してうまく言葉に出来ていなかった姿、様々な姿をこの1年で見ました。自分があまりフォローにつくことが出来ず、周りに任せっきりになってしまい相談出来る環境を整えることが出来ていなかったのではないかと反省しています。最初は何かわからないことがある?と尋ねても、大丈夫です。と返答するだけでしたが、次第に色々な事を質問してくれて日々成長しているなと感じました。
精神的に弱い部分もあり、悲観的になり涙あうる場面もありました。仕事に行きたくない、自分に自信がないなど、彼女の弱い部分も知り時間をかけゆっくりと話し一緒に問題を見つけ、解決策を考え行動し、少しずつ自信に繋げられたのではないかと思います。
 今回の事例では、患者様と家族との関わりや患者様と向き合いニーズに応える事の大切さがわかったのではないでしょうか。業務に追われ、中々患者様と向き合う時間が作れていない事が多々あると思います。これから少しずつ時間を見つけて関わっていけたらと思います。
4月から2年目となりましたが、まだ実感が湧かないかもしれません。
まだまだ不安なことが沢山あるかも知れませんが、今までと変わらずフォローしていきますので何でも相談して下さい。これからますます忙しくなり大変になってきますが、引続き一緒に頑張って行きましょう。

副看護部長 藤安 友子
        「
有効な時間の使い方でWIN WINの関係性を築けた行動

 もう入職1年が経ちましたね。原口さんにとってこの1年は早かったでしょうか。遅かったでしょうか。一生懸命が故に、すべて自分で納得するまでは行動に移すことが出来ず、成長が目に見えず苦しんだこともありましたね。看護師になったのに途中はくじけそうになり、多くの周囲からの仲間・先輩達からの支えがあって今の原口さんがここに存在しているのだと思います。
手技も上手にできずに悩み、考えるあまり手を出すことが出来なくなった時期も経験し、今は立派に成長し看護師を続けています。
この1年間で流した涙は決して無駄ではなかったと思いますよ。
 A氏と家族を交えて関わりを持ちたいとジレンマを抱えていたのは原口さんだけではないと思います。その中でも、有効な時間を見つけて寄り添うような看護を提供出来た事は、どんなにA氏やご家族の心に響いたことでしょう。いつも持ち持ち続けていた何か出来ることはないだろうかという気持ちは、相手にも通じるのだと思います。真面目にコツコツと行う姿は、皆が見ています。急性期病棟で忙しく動き回っていますが、患者様それぞれに対しての看護が繰り広
げられています。指導者の声にもあるように、成長している姿が感じ取れる毎日です。
これからも初心を忘れることなく、日常を過ごしていけると良いですね。

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5東病棟
新人看護師 大山 礼安
        ~私に出来る事~
 入職して1年が過ぎ、少しずつ業務や仕事に慣れてきた。そんな中で今でもとても印象に残っている患者様との出会いがあった。
 A氏は、末期の肝癌でであり内科病棟が満床であったため、5東病棟へ入院となった。
入院時、腹水が著明でありトイレにも行けないほどADLが低下していた。付添で来ていた妻は「2~3日前まではトイレにも自分で行っていたのに」と悲しげな表情で話され、A氏の現在の状況を受け入れられない様子であった。
 
翌日もA氏を受け持つことになった。A氏と同室の患者様はその日手術予定であり、私が手術室へ搬入し戻ってくるとA氏の妻より「治療が出来る人はいいですね。夫は点滴しかしていないのよ。腹水を抜いてくれないのかしら。」と言われた。私はどのような声掛けをしたら良いのかわからなかった。ただ、A氏の妻の背中をさする事しか出来ない自分が情けなかった。
 急遽その日のうちに内科病棟へトランスが決まり、A氏は内科病棟へ移動となった。その後も私はA氏の妻の言葉が胸に残っていた。A氏の妻に対して私が出来ることがあったはずだとやりきれない気持ちだった。私は、実地指導者にA氏の妻との出来事を話し、自分はどう対応するべきだったのか相談した。実地指導者より「A氏の妻は、医師より末期の肝癌であることは説明されていたよね。だけどADLがいきなり低下した今の状態を受け入れることが出来ていなかったね。何が看護師に出来ることだったかな。」と聞かれ、私はハッとした。妻の気持ちを医師に伝え、現在のA氏の状態や今後の治療方針について医師より説明してもらえる場を作るべきであったのではないかと考えた。もし私がその場を作ることが出来ていたら、A氏と妻は疾患に対しどのように向き合い、残りの人生を過ごすことが出来ていたのだろうかと色んな思いが溢れてきた。A氏との関わりを通し、看護師は患者様・家族に一番近い存在であると改めて実感した。またこの1年間は、沢山の看護場面を経験し、あの時こうしたら良かったと考える事ばかりだった。そんな中でこの仕事にやりがいを感じさせてくれたのは患者様やその家族だった。
名前を覚えて毎日声を掛けてくれる患者様、退院後に「あなたに会いたくて来た」とわざわざ病院に足を運んで下さる患者様、ルートキープの際「失敗してもいいから何回でも刺しなさい。」と優しく声を掛けてくれる患者様、振り返るといちも患者様の言葉に支えられていた。
 まだまだ未熟であり、これからも色んな事に悩むと思うが、常に患者様や家族の立場で考える事が出来る看護師になれるよう努力していきたい。

実地指導者 末次 将也
        大きく成長した姿がとても誇らしい
 1年間、お疲れ様でした。大山さんは、いちも明るくてかわいらしくて素直で、業務に対しても勉強に対してもいつも向上心に溢れていました。私の1年目の時とは比べものにならない位のお手本となる1年目だったと思います。入職当初はパソコンが苦手で記録に時間がかかってしまったり、何回も同じことで注意されたり、時には指導に熱が入りすぎて泣かせてしまう事もありましたね。しかし、嫌な顔一つせずめきめきと成長し、処置や初めての業務では「私にやらせて下さい。」と大きな声で一番乗りに手を挙げていました。周りのスタッフからも大山さんの積極性や向上心、自ら工夫して仕事に取り組む姿をいつも褒めて頂き、自慢のプリセプティです。
 A氏の関わりについてですが、正直私もこのような場面でどう声をかけたらいいのか困惑すると思います。しかし、大山さんはA氏の妻の言葉をきちんと受け止めてあげられましたね。
うまく言葉はかけられなかったかも知れませんが、患者様やご家族に対する何かしてあげたいと寄り添える気持ちや、この事例の問題点に気づき振り返る事が出来た事自体が、今後に繋がる大きな学びであったと思います。看護師は専門職です。大山さんの文面にもあったように、患者様の現在の病状や状態を受け入れられていないという事実に気づき、どのように介入できるかが看護師の腕の見せ所です。看護師は身体的な観察、アセスメントだけでなく治療や疾患に対する思いや意向を医師に伝え、患者様やご家族の代弁者にならなければなりません。
そのためには知識はもちろん必要ですが、患者様やご家族にこうしてあげたいという思いやりや、優しさが必要だと思います。その大事な要素が大山さんには備わっていると改めて感心しましたし、これからもその気持ちを持ち続けて、患者様やご家族に信頼して頂けるような素敵な看護師になってほしいです。

副看護部長 藤安 友子
        言葉の裏に隠された気持ちを考えられた事に感動

 入職してから1年が経ち、徐々に成長していく姿を、近くで頼もしく見させていただきました。
自分から、スタッフにも患者様にも積極的に声をかけられて、笑顔で対応出来るそんな印象を受けていました。人と打ち解けて話していると、笑顔の素敵な優しいという面がどんどん姿を現しだしました。大山さんは、もともとコミュニケーション能力に長けていたこともあり、患者様やご家族との会話に臆することなく笑顔で対応していた事は素晴らしいと思いました。
 A氏のような終末期の方がおられる一方で、術後のリハビリを懸命に頑張っておられる方もいらっしゃいます。色々な方に接する中で私達は、対人間として接していく事が求められます。
いかに言葉の真意を読み取れるのかが、肝になる事もあります。今回そこを考えられた行動が素晴らしいと思います。いつもこれで良かったのか。もっとより良い対応は出来なかったのかと、常に向上していけるように考える事が必要なのでしょうね。これからの成長が楽しみです

                             次回は、(5階西病棟)循環器内科に所属する
                                       3名のナラティブ報告を紹介します。  
                                             お楽しみに!!!


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