「入院患者様に対する精神的ケアについて」
大隅鹿屋病院
4階東病棟
(循環器内科:心臓血管外科病棟)
山内 望里
久木田学園看護専門学校
(H25年卒)
入職して1年が経ちました。
最初の頃は右も左も分からずコミュニケーションの図り方さえ分からない状況でした。
患者様と関わっていく上でたくさんのことを学び、看護とは何かと考えた1年間でした。
治療や検査など診療上の補助を行うことや清拭やオムツ交換・口腔ケアなどの療養上の世話などたくさんの役割がありますが,私がこの1年間で看護とは精神的ケアも重要な役割のひとつであるということ。傾聴することや声かけひとつで患者様の精神的な支えになるということをたくさん体験してきました。
Aさんは70歳代女性であり、明るくいつも笑顔でいっぱいの患者様でした。
以前も入院しており顔見知りの患者様でした。前回は、狭心症により全身麻酔下で冠動脈バイパス術を行っていました。その際も不安感や緊張感を感じさせない明るさでした。
今回、腹部大動脈瘤のステントグラフト内挿術予定で入院していました。
私は以前も手術をうけていたので大丈夫だろうとばかり思っていましたが、手術日数が近づくにつれ、「手術はどうなのかな?」「ちゃんと血管を通らなければまたお腹切らないといけないんだって」と不安感を表出していました。そう発言しながらも笑って過ごしていたAさん、手術当日も大丈夫ですと笑っていましたが手術室に到着したら涙を流し始めました。
その際、私は「大丈夫、大丈夫。」としか声をかけてあげられませんでした。その時、私はもっと術前に傾聴すれば良かったな、Aさんが納得するまで手術についての流れを説明すれば良かったなと後悔し、1日を過ごしていました。
手術を終え病室に帰ってくると「無事終わって良かった」といつものAさんでした。
その後、リハビリを積極的に取り組み順調に回復し、退院することになりました。
退院前日にAさんから「あなたの笑顔に救われたよ。いつもあなたから元気をもらっていた。
ありがとう。」と言われました。知識や技術が伴わなくてもいつも笑顔でいようと入職した頃から決めていたことが患者様の元気につながっていたのだと思うととても嬉しく思いました。
私はこの患者様を通して、私たち看護師には日常的になっている検査や、手術前でも不安を感じさせない患者様にも必ず不安感や緊張感はあると考えて接するようにしています。
よく、「忙しそうだね」と患者様からの言葉を耳にします。私は忙しそうだからとの理由で自分の思いを伝えることができない患者様がほとんどだと思います。患者様の前では忙しさを出さないよう心がけ、患者様が思いを伝えることのできる環境づくりが大切であると感じます。
入職して1年が経ちます。知識や技術の向上ももちろんですが、精神的なフォローも看護師としての大切な役割だと思います。これからもたくさんの患者様と出会い看護していかなければなりません。私たちにとっては何回目かの処置や検査でも患者様にとっては初めてのことばかりです。
患者様が思いを表出でき、安心して入院生活を送れるように看護していきたいと思います。
そして、Aさんから教えてもらった喜びを忘れず笑顔をモットーに自己研鑽していきたいです。
(写真はクリックすると拡大します。是非、お試し下さい)
今朝も元気に出勤しました。
感謝の気持ちと笑顔を忘れずに
頑張ります!
「実地指導者として1年間を振り返って」
4階東病棟 実地指導者
香月 ゆかり
今回患者様からとてもいい言葉を頂いたと思います。
自分で患者様の立場になりこう接したいと強く思う気持ちが行動 にでている 結果だと思います。普段から笑顔いっぱいで患者様に接している姿を度々目にし、見習っていこうと思うこともありました。当病棟は急性期であり緊急手術になる患者様や長い間手術を待っている患者様、手術になるのか結果を待つ患者様とそれぞれです。そんな中どのような対応をしなくてはいけないか今回振り返る事できちんと理解できたのではないでしょうか。手術を受ける患者様のケアにまず大切な事は患者様のストレス状態や不安の程度に応じた対応をとることであると述べられています。
患者様が少しでも前向きに手術をうけられるような声かけが今後できていけたらいいと思います。
忙しい病棟での勤務はうまくいかないことや、悲しい事、業務に追われ自分の理想とする接し方ができなかったことがあったと思います。しかし前向きに頑張る山内さんの姿を私は誰よりもみていたつもりです。これから経験を積んでいく事でたくさんの患者様と接していくと思いますが、この気持ちを忘れずに接してほしいです。自然と患者様から頼られ、声をかけられる看護師になってください。
今回初めて実地指導者となり指導するという立場に立つ事になりましたが、不慣れでどうやって教えればいいのか、他のスタッフにも協力してもらうにはどう声かけしたらいいのかと大変悩む事が多かったです。自分の指導が至らず山内さんには大変迷惑をかけることも多かったと思いますが、4東病棟の一スタッフとして成長できたのではないかと思います。
1年間本当にお疲れ様でした。
「相手主体で物事を考えられるすばらしさ」
4階東病棟 師長
藤安 友子
気がつけば、あっという間に一年が経ちましたね。入職直後は緊張がこち らにも伝わってくる程のこわばった表情をしていましたが、自然と患者さん から褒めてもられるそんな素敵な笑顔に変わっていましたね。山内さんが 自らいつも意識していたとあるように、その笑顔はいまではチャームポイン トになっていると思います。
業務中はゆっくり時間をとって話をしたり、相手のペースに合わせて処置や業務を行うということよりも、とかく自分の業務や段取りを優先してしまいがちですが、それではいけないということに気づき、配慮しながら行動に移していく努力を怠らなかった姿には頭が下がる思いです。
そして、検査や手術など私たちからすれば日常的なことであっても、患者さん・ご家族にとっては初めてのことや一生に一度の大きなことであったりしますが、この事例を通して学び、次にいかしていこうと考えられたことは十分に評価できることだと思います。私も話をしたり、何か対応するときには、『一期一会』という言葉を意識するようにしています。山内さんも気づいているように、言ってしまった言葉や態度は取り返しがつかないこともありますからね。
今後も多くの知識や技術を学んでいこうと頑張っていくと思いますが、ぜひ相手のことを考えながら行動していくということを忘れずに看護に励んでいってほしいと思います。これからも患者さんにとって最善と思えるような環境を提供できるように一緒に前進していきましょう。
ナラティブ発表会はスタッフ全員の気持ちを初心に戻してくれるきっかけを作ってくれると思います。来年も是非参加したいです。
返信削除うれしいコメントありがとうございます。
返信削除入職してからの一年間は,大変な時期もあったと思いますが,持ち前の笑顔で乗り越えて今を迎えることができているとおもいます。
実地指導者の香月はもちろんですが、病棟スタッフが全員で支え、励まし、指導してくれました。
毎年思うのですが、ナラティブ発表会を聞くと、心に響きますね。毎年楽しみにしていきたいですね。